恐怖のお散歩 vol.7 ~おそってきた正体は~
作/チームCOL
初めてのお散歩は、恐怖だらけ。
ママはボクに歩調を合わせながら
歩いてくれているけど、
ボクは初めて見る道路やお店に
さっきからキョロキョロしっぱなし。
ガタ、ガタガタガタッ!!
とつぜん風が吹いた。
うわぁ!
なんの音? こわいよー!
大きな音におどろいたボクは、
思わず飛びあがると、
必死に地面にしがみつく。
ちぢこまっているボクの背中に、
ママのあったかい手を感じた。
「はっちゃん、こわかったねー。
でも、看板が風に吹かれただけ
だから、だいじょうぶよ。
絶対におそってこないから!」
ママの目が、とっても力強く見えて、
ボクもだいじょうぶな気がしてきた。
立ち上がって、ママの後ろを
そろりそろりと付いていく。
電柱におしっこをしようと、
道をななめに渡っていた
ちょうどその時、
道の真ん中で、白っぽいものが
ふわんふわんって、
奇妙な動きをしはじめた。
な、な、なに?
すると、その白っぽいものが
ス――ッと速度を上げて、
ボクのほうに近寄ってきた。
わぁーっ!
なんか来たーー!!
ボクはビクッとして、
思わず横に飛びのいた。
こわくてギュッとつむった
目を開けると、電柱が目の前に!
うわぁっ、
ぶつかるっ!!
あわてて、電柱を蹴った。
ハァ、ハァ、ハァ……。
心臓が飛び出るかと思ったょ。
「はっちゃん、はっちゃん!」
息を切らしているボクの耳に、
ママの声が
ようやく聞こえてきた。
「はっちゃん、こわかったんだねー。
もう、だいじょうぶよ」
うぅ。
ボク、生きた心地がしなかったよぉ。
おそわれるかと思ったんだから。
ママは、ボクを安心させるように、
背中をポンポンしてくれる。
そして、ちょっと言いにくそうに
切りだした。
「はっちゃん、
あの白いのはね……」
ママは、ふき出しそうになるのを
こらえながら、スーパーのレジ袋が、
風でふわふわ飛んできただけだと
教えてくれた。
え……
ボクは、急に恥ずかしくなって、
遠くを見てみたり、
地面をクンクンしたりして、
何事もなかったかのように
歩き出した。
それからしばらくの間、
ボクの後ろからは、
ママのクスクス笑う声が
聞こえていた。
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