事件です! vol.27 ~置き去りのはっちゃん~

作/チームCOL

朝、みーちゃんと散歩中に
事件は起きた。


「あ、はっちゃん。
 トイレ行ってくるから、
 ここでちょっと待っててね!」


みーちゃんはボクのリードを
木のくいに引っかけると、
ボクを置いて建物の中に
走っていっちゃった。


え。え。なに? 
みーちゃん、行っちゃうの?


ボクは木につながれたまま、
みーちゃんの小さくなっていく
背中を目で追いつづける。


みーちゃん……。


ボクは、どうすることもできず、
おすわりをして、みーちゃんが
消えた建物の入り口をジッと
見て待った。


ふいに、にぎやかな声が
聞こえてきたかと思ったら、
赤や黒のバッグを背負った
男の子や女の子たちがドタドタと
走ってきて、あっというまに
囲まれてしまった。


「わ~、犬だー!」
「かわいい~」
「あ、知ってるー。
 これ、シバ犬だよ」
「かまないかな、こわいよー」


くちぐちに言うと、
ボクを上からのぞきこむ。


ボクは、きんちょうで体を
こわばらせた。

すると、男の子がヌッと
手をのばしてくる。


うわ!

目をギュッとつむったときには、

男の子の手は、ボクの頭を
ばふばふとたたいていた。




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