世界一のしあわせ者 vol.57 ~虹の橋から見守ってるよ~

作/チームCOL

どこまでもつづく草原で、
ボクはウィル君と鼻をつけ合わせ、
思う存分、じゃれ合った。
追いかけっこもした。


ここは、春のようにあたたかくて、
お花のいい香りがする。


そうか。
ここが、ママが話してくれた
“虹の橋”なんだね。


ウィル君、ボクをむかえに
来てくれて、ありがとう。



そう。
1か月くらい前、ボクは急に
ごはんが食べられなくなって、
ママとみーちゃんが、毎日
一生懸命、お世話してくれたんだ。


横になることもできなくて、
立ったままウトウトしたり、
一歩あるくのでさえ、
精一杯だった。


でも、今はもう、
どこも痛くないよ。
体が軽くて、頭もスッキリしてる。


だけど、もう、ママにあまえて、
お腹をさすってもらうことも、
ママとみーちゃんと
お散歩に行くことも、
みんなとグラウンドで会うことも
できないんだね。


でも、ボクはいつだって、
ここからみんなを見てる。
ずっとずーっと見守ってるよ。


ママ、お仕事がんばってるかな。
ワイン、飲み過ぎてないかな。
みーちゃんは、ドジしてないかな。

って、いろいろ心配だもん。
だから、ボクがちゃーんと
見張っていなくちゃね。



ボクね、みんなといっしょに
いる時は、当たり前のように、
毎日を過ごしてた。


今が永遠につづくって、
なんとなく、そう思ってたんだ。


怒られてシュンとしたり、
おやつをもらえなくて、
ムスッとしたり……。


だけど、ここから見ていると、
そのいっしょに過ごした
一日一日が、一瞬一瞬が、
キラキラして見える。


あの頃は気づけなかったけど、
こんなに、かけがえのない時を
過ごしてたんだね。



いっぱい、いっぱい、
ありがとう。


おわり


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