最新情報!新刊『倉橋惣三物語』のお知らせ
From 倉橋 燿子
長年わたしの本を読んで
下さっている読者の方は、
ちょっと驚かれたかもしれません。
青い鳥文庫を中心に児童書を
書いてきた私が、このような本を
書くなんて…。
倉橋惣三氏は、夫の祖父ですが、
くわしいことは知らずにいました。
けれど、あるきっかけがあって、
初めて惣三氏自身の著作や惣三氏に
ついて書かれた書物等を読みました。
明治生まれで、大正・昭和期に
活躍した『近代幼児教育の父』
『日本のフレーベル』と呼ばれる
惣三氏は、時の天皇陛下御夫妻に
幼児教育についてのご進講をしたり、
現上皇様の皇太子時代の教育係を
担われていた方です。
夫の母が保管していた遺品を
調べてみると、惣三氏の日記や
手紙、勲章や出身校の卒業証書
までがあり、読み進めるほどに、
専門書等では語られない、
ありのままの惣三氏の姿が
見えてきました。
何をやっても不器用で
引っ込み思案。運動神経が鈍くて、
同級生からはカメやカエルと
からかわれていました。
その惣三氏が、のちに幼児教育の
大改革を行い、さらには、
天皇陛下に教育についての助言をし、
果ては“近代幼児教育の父”と
呼ばれる人になるなんて、
だれが想像したでしょうか。
これは、惣三氏自身の遺した、
わたしの大好きな言葉です。
惣三氏は、常に
子供たちの中に眠る可能性を信じ、
可能性は必ず開けると
信じていた方です。
この三十数年、200冊あまりの本を
書いてきたわたしも、常に
子供たちの可能性を開きたいという
想いで物語を作ってきました。
惣三氏のことを知るほどに、
その想いは強くなり、
この方の人生を物語にしたい!
という情熱がムクムクと
わき上がってきました。
共著である倉橋麻生は、
わたしの娘です。
大学院卒業後、宮内庁に勤めていた
娘が、当時天皇陛下だった
上皇様から御言葉をいただいた
ことがありました。
惣三氏のひ孫であり、そういった
ご縁もあったことから、娘にも
本格的に物語づくりに参画して
もらうことにしました。
そして、膨大な資料と格闘して
丸三年、ようやく物語が完成!
明治、大正、昭和の時代、
二つの世界大戦、関東大震災、
スペイン風邪の流行等、
社会的な事件を数々体験した
惣三氏が、幼児教育への強い思いを
抱き、人生をどう生きたのか……。
私に届く小中学生の読者の
子どもたちからの手紙には、
“素直ないい子”の自分を
保とうと、苦しんでいるという
声が多いのに驚きます。
子どもたちがもし、自分の中に眠る
可能性に気がつき、人生の目標や
願いを見つけて、それを果たそうと
生きることができたら、どんなに
すばらしい人生になるでしょう。
惣三氏の思想・生き方は、
幼児教育に限らず、
全ての人間への生きるヒントでも
あると、わたしは確信しています。
一人でも多くの方に読んで
いただけたらうれしいです。
0コメント