世界中がグレー一色 vol.15 ~ママのスリッパは救世主~

作/チームCOL

ママがいない部屋は、
ガラ~ンとしていて、
おそろしいほど広く感じる。


ボクの心は、グレー一色。
どよ~~んとした気分のまま、
ボクは、寝室にあるケージの
中でひたすら丸くなっていた。


しばらくすると、ガタガタッ!
という大きな音で目が覚めた。


ガタガタッ! 
ヒュ~~~~

ガタガタガタガタッ!
ビュ~~~~~~


窓の外は、ぶあつい雲が
空をおおいつくしていた。
大きな木々たちが風にゆられて
ブーンブーンと頭をふっている。
ときどき突風が吹いて、
激しくおどっているようにも見える。


こわいよ~~~、ママ。
はやく帰って来て……。


ママがいつもお仕事をしている
部屋へ行って、
ママの姿を探してみる。


だけどやっぱり、ママはいない。


しかたなく、ママがいつも座っている
イスの下にもぐり込んでみたけど、
むしろ、風の音が大きく感じる。


ガタガタガタッ! 
ヒュ~~~~~

ガタガタガタガタッ!!
ビョォ~~~~~~


こわい……。
だれかぁ~~!


震える体を止められないまま、
そろりそろりと足をすすめ、
ようやくたどり着いた玄関のドアを
「カリ…、カリ…」
と、力なく押してみた。


だれか……助けて……。


だれも助けてくれるはずもなく、
もちろんドアも開かない。


ふり返ると、玄関のマットの上に、
ポツンとママのスリッパが
置いてあった。


クンクン……

あ、ママのにおい。


ボクは、ひとしきりにおいをかぐと
マットの上に丸くなり、
ママのスリッパにあごをのせた。


うん。
ここが一番安心する。


ボクは、ようやく息を吐くと、
ゆっくりと目を閉じた。



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