ボクを見つけてくれたのは… vol.23 ~二人で一つの器~
作/チームCOL
爆音におびえてふるえていた
ボクの目の前に、
大きな長ぐつが見えた。
「お!ハチ!!
いたんか、こんなところに!」
聞きおぼえのある声。
顔をあげると、バイクを引いた
ハルじいが立っていた。
なんだ~。
あのおっきな音は、ハルじいの
バイクの音だったのか。
ビックリしたなぁ、もう。
ハルじいのうしろには、
黒いかたまり…じゃなくて、
ハルちゃんが見守るように
ボクを見ている。
あ、ハルちゃん。
知らせに行ってくれてたんだ。
ハルじいは後ろを向くと、
「お~~~~~い、
はちがいたぞぉ~~~~!
こっちだぞーー!!」
と大声でさけぶ。
すると、ママが大あわてで
走ってきた。
「はっちゃんっ!!!」
ママ!!
ウィルパパとウィル、
ミノンちゃんとミノンねえさん、
つづいて、モモママとモモちゃんも
あとから追いかけてきた。
ママの顔をみたら急にホッとして、
ノドが渇いていたのを思い出した。
蛇口をペロペロなめると、
ママが蛇口を開けてくれた。
そして、バッグから水入れを
出してなみなみと注いだ。
ペロペロペロ……
あ~~、おいしい。
すると、ウィルくんがやってきて、
ボクが飲んでいた器に鼻先を
入れてきた。
ペロペロペロ……
ピチャピチャピチャ……
ボクとウィルくんは、
ふたりでひとつの器の水を
わけ合ってゴクゴク飲んだ。
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