夜のグラウンド vol.9 ~暗がりに光る目~

作/チームCOL

「はっちゃんが、まさか
 こんなに元気に遊ぶなんて!」


ママの目が、さっきから
まん丸になってみたり、
ほそ~い山なりになってみたり、
いそがしい。


地面を歩くのでさえこわがる
ボクが、まさかウィル君と
あんなに元気に走り回るとは
思ってもみなかったみたい。


ぼくたちの仲良しっぷりに
おどろいたウィルパパとママは、
ふたりで相談して、夜のお散歩も
いっしょに行くことにしたんだって。


夜ごはんを終えたあと、
ママに連れ立って、
真っ暗な公園に入っていく。


ゆらゆらとお月さまが
映りこんでいる
池の横を通り過ぎて、
グラウンドに近づいてみると、
なんだかにぎわっている様子。


ウィル君とウィルパパ以外にも、
だれかいるみたい……。


なんとなくこわくなって
立ち止まると、
ママの背中を見上げた。


ママはふり返ると、

「だいじょうぶよ~。はっちゃんの
 新しいお友だちがいるのよ。
 お友だちになれるかな?」

そう言って、ゆっくりと
グラウンドの中へと入っていく。


数本の電燈がところどころ、
ほんのりとグラウンドを
照らしている。


「こんばんはー!」


ママが元気よく声をかけると、
ウィルパパの声がした。


「はっちゃ~ん! こっちこっち」


ウィルパパが手招きすると同時に、
暗がりからいくつもの光る目が、
ママとボクをジッと見ていた。

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