はじめましてのごあいさつⅠ vol.10 ~はっちゃん、モモちゃんの洗礼をあびる~

作/チームCOL

グラウンドの真ん中で、ボクは
緊張のあまり固まっていた。


暗がりから、いくつもの光る眼が、
だんだんとボクに近づいてくる。


ど、どうしよう……。
逃げたい。


電とうの明かりの下に現われたのは、
白い大きなラブラドールレトリバー
とボクより少し大きい、
黒い毛の雑種犬。
それから、小さな白いパグだった。


みんながボクのまわりに
集まってくると、クンクンクンクン
鼻を近づけてくる。


おしりをクンクン。
お腹をクンクン。
顔のまわりをクンクン。
ボクが何者か、調べてるみたい。


固まり続けるボクに、
ウィル君のパパがやさしく言った。

「みんな、はっちゃんだよ~。
 はじめましてだね」

そして、みんなを紹介してくれた。


白いラブラドールのミノンちゃんに、
黒いモシャモシャの毛のハルちゃん。
それから、ボクよりも小さな体の
パグ犬、モモちゃん。
みんな女の子で、ボクより
少し年上のおねえさん。


ふいに、ウィル君が
軽快に走ってきて、
ボクのまわりでジャンプする。

ウィル君のおかげで、ちょっとだけ
緊張がほぐれてホッとした。


気がゆるんだボクは、
小さな体でチョコチョコ歩く、
パグのモモちゃんのおしりを
そーっとクンクンしてみた。


するとモモちゃんは、
「フギャッ!」
って叫んだかと思うと、
ボクのほうに向きなおって、

「ワンワンワンワンワンワン!!」

って、小さい体をぜんぶ使って
すごいいきおいで吠え始めた。

ボクは、
ひとたまりもなく撃沈した…。



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