もみくちゃの追いかけっこ vol.12 ~牧場にいたころのボクは・・・~

作/チームCOL


ゴールデンレトリバーの
ミノンちゃんは、
いたずらっぽい目でボクを見ると、
スイッチが入ったように、
一直線にダッシュした。


体が大きいから、
ゆったりしてるように見えるけど、
スピードは、うんと速い。


グラウンドのお散歩タイムは、
盲導犬のミノンちゃんが
自由に遊べる唯一の時間
なんだって。


ミノンちゃんのあとを追って、
ボクも地面をけりあげた。


すると、ウィル君がすばやく
ジャンプして、ボクの背中に
飛び乗ってくる。


じゃれ合うウィル君とボクの
あいだに、モモちゃんまでが
わって入ってきて、
「アウアウアウアウ~!」
って吠えはじめた。


もう、なんだかもみくちゃだ。


少しはなれたところで、
ひとりボール遊びをしている
黒毛のハルちゃんだけは、
素知らぬ顔をしてるけど、
ちゃっかり横目でボクたちを
チラチラながめてる。


じゃれ合ってるあいだ、ボクは
ついこの前までいた牧場での
ことを思い出していた。


たくさんの犬や猫や馬たちと
いっしょにいたけど、ぜんぜん
相手にしてもらえなかった。


こんなふうに
みんなでじゃれあったり、
はしゃいだりして遊んだことなんて、
思い返せば一度もなかったなって。


いつもおびえて
ビクビクしてばっかりいた。


だけどね、
ここにはいろんな人や犬がいて、
なんだかちょっとおもしろい。


これからちょっとずつ、みんなと
仲良くなれたらいいな~。



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