最大限の抵抗 vol.29 ~ボクのちっちゃい勇気~
作/チームCOL
あの日以来、ボクは案の定、
小さな子どもが
大の苦手になっちゃった。
とはいえ、おかげで
ちっちゃい子どもたちの
はしゃぐ声がものすごーく
遠くで聞こえただけでも、
びんかんにキャッチできるように
なったんだよ。
だけどザンネンなのは、
人の耳には聞こえないから、
ボクが急に方向転換して、
イヤイヤをしても、ママには
ただのワガママにみえる
みたいなんだ。
この前も、ボクが急に
道の真ん中で止まったら、
ママが……
「はっちゃん、どうしたの?」
↓
「ほら、はっちゃん。
こっちこっち~~」
↓
「はち、ほら行くよ!」
↓
「はちーっ! こっちっ!!」
最初はやさしいんだけど、
口調がどんどん強くなるんだ。
で、最後には……
「はち、もういいんだね。
わかった。じゃー、バイバイ!」
最終手段をとってくる。
ママ、「バイバイ」なんてヒドイ。
サヨナラなんて言わないで……。
だけど、ボクも負けちゃいないよ!
ボクにとっては、
ママのおどしよりも、
子どもたちのほうが
ずーっとこわいんだからね。
だから、ぜったいゆずれないんだ。
前脚を全力でつっぱってみたり、
おしりを向けて、地面に
べちゃーーって伏せてみたり、
ママが引っぱるリードを
手でギュ~ッておさえてみたり。
とにかく動かないように
必死に抵抗して、
ボクは自分の意志を
つらぬいたんだ!
おかげでママがしぶしぶ
方向転換してくれたんだよ。
ちっちゃな抵抗だけど、
ボクだって弱いばっかりじゃ
ないもんね。
こうやって、ボクはちょっとずつ
だけど、勇気を出せるように
なってきたんだ!
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