外はこわいものがいっぱい vol.3 ~ママの腕の中~

作/チームCOL


夕方になって、
ようやく車から降ろされた。


ふぅ、やっと着いた……。


ボクは、地面に足をつけた。
すると、足の下がツルツルする。
ふんばればふんばるほど、
足がツルンと滑りそう。


え、なんだろう。この感触……。


ボクは、足先に集中して、
なんとか立とうとする。
でも、力が入りすぎて、
体がガタガタふるえてる……。 


へっぴり腰でふるえるボクのほうに
むかって、今度は向こうから、
ボクの数十倍、
いや、数百倍もありそうな
大きな四角い箱が音を立てて、
せまってきた。


ガタガタガタガタ……
ブォンブォーーン!


「こ、こわいよ! 助けて!」


ボクは、耳をぺちゃんこにして、
地面にへばりつく。


ママは、心配そうにのぞき込んで、
ボクをそっと抱きあげた。


「はっちゃん、だいじょうぶ? 
 コンクリートもトラックも、初めてだもんね。
 そうだよね、怖いよね。
 ごめんね、はっちゃん」


だけど、心配するママの声は、
ボクの耳には入ってこない。

抱っこに慣れていないボクは、
前足も後ろ足もピーンとつっぱって、
体じゅうが緊張している。


「こわいよ、降ろしてぇ~、助けてーー」


ボクは、ひたすらバタバタと暴れる。
すると、ママの腕の力が強くなって、
ボクをギューッと抱きしめた。


「だいじょうぶ、だいじょうぶ! 
 こわくないよー」


そう念仏のように、
唱えつづけてくれるママに、
ボクは必至で抵抗しようとした。


だけど、なんだろう。この安心感。
しばらくして、
ボクは落ち着きをとり戻した。

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